「異学年型教科センター方式」とは何か?(1):っていうか,その前に「教科センター方式」とは何だ?

最初に言うとくけど,長いよ,今回。 至民中 北陸本線・福井駅から南西に7キロ弱,車で20分ほど走り,人家や商店街,街道沿いの大型店舗などから離れて田んぼが広がるなかを少し行くと小高い丘陵のふもとまで来る。その里山の尾根部分の斜面を削って平地にし…

いろいろと。

年度末,あわただしくしております。いろいろと負債がたまっておるわけです。・先日,某先生から文字通りのご叱咤いただきました某データの入力&コード化&コードブック作成作業は空き時間をみつけてはコツコツと継続中であります。来年度中には形にするっ…

社会移動と知識/技能修得(1)

教育社会学の教科書をひも解けば,教育社会学が分析の対象とする(学校)教育の社会的機能として「社会化」機能/「選抜・配分」機能/「正当化」機能の3つが挙げられている(か,前2者のみが挙げられている)だろう。そのうち教育社会学の発展の原動力とな…

教育の「個性化」「自由化」は必ず「教育の格差」を拡大させるか?

↑まあ,「個性(化)」とか「自由(化)」という言葉をどういう意味で用いるか,に依存するわけだが。昨日,日本の個別化・個性化教育のメッカ(?)愛知県東浦町にある小学校まで出向き,研究授業(というのとも若干違う趣旨の授業公開だったんだけど)を見…

「給食費未納」分は「子ども手当」から天引きするかもの件

鳩山首相が山梨県での自治体首長との懇談後,首長側からの要望を受け,給食費滞納世帯については未納分を「子ども手当」から天引きする形で対応する方向で法案を見直す可能性に言及したようです。私は長期的には,「生まれてきた以上,〈生まれ〉によらずど…

ありやなしや,と

ブログ界隈で地味〜で堅実な資料調査をされている歴史家の様子を垣間見るにつけ,そういう作業がなんにもできていない最近の自分が悲しくなるのであった。ま,ぼく歴史家じゃないっすけど。そんなこんなで現在の職場でやるべきすべての講義を終えた。最後の…

1993年の授業感想文――『授業巡礼〜哲学者 林竹二の残したもの〜』を見て

戸崎賢二先生からお送りいただきました.1993年4月19日の東大教育学部での授業で,戸崎先生が取材・製作されたETV8『授業巡礼〜哲学者 林竹二が残したもの〜』を見たあと提出したと思しき私の感想文である.思ったより長い.A4で1枚書いている.「授業…

心底驚きの年越し

「林竹二」,承前.私が初めて「林竹二」と出会うこととなった学部生時代の講義「放送教育」だが,それを非常勤で教えにきておられた戸崎賢二先生.あたかも私はそのお名前をずっと覚えていたかのように前エントリでは書いているわけだが,実はこれ,川本さ…

林竹二,きた?

以前こちらでご紹介した「林竹二」と,それを導きの糸とする東大教育学部の「西洋教育史概説」を講じておられる川本隆史さん.なんとびっくり,その川本さんご本人から「林竹二」関連その他の諸論考をご恵送いただきました.(実は頂いてからだいぶ間があい…

地方入試会場での思い出

今年の予定も入れるとここ3年ほど地方入試会場(←いや大学本体がすでに「地方」なんですけどね)の担当.うちは一般入試3日間行うので(ホテルに軟禁状態),入試最終日には教員・事務職員はもちろんのこと,受験生との間にもなんかしらん「仲間意識」みた…

この中学が母校だったら私もっと“かしこかった”のに...

私の勤務する私立教員養成大学では「教員養成GP」プログラムの一環として2年次に現場の小・中学校に出向いて,学習指導案を事前に公開していただいたうえで授業実践を観察させていただく(しかも一日かけて)という,(破格の)実習が都合3回設定されてい…

現代の問題と〈社会史〉研究との接点

まあ,あのこんな感じのことを.梅田では.長いよ.現代の問題と〈社会史〉研究との接点―「個別化・個性化教育」と情報社会論/アーキテクチャ論の視点から―

制度設計と人口規模のはなし

一部ですごく話題になっている東氏出演の朝生でしたが(途中までみてた,風呂上りにテレビつけてそのまんまw),個人的に非常に面白かったのは制度設計と人口規模の話が少しふくらんだこと.実際の文脈では,ルソーの話が出て,「24000人(ぐらい)」ってい…

脳科学つづき

河野哲也『暴走する脳科学―哲学・倫理学からの批判的検討』光文社新書,2008年.脳科学の現実社会への適用について哲学・倫理学の立場から批判的に考察した本.「脳の十年」(1990年代アメリカ・ヨーロッパ,遅れて日本も突入する脳科学推進に向けた国家あげ…

脳科学の真実

坂井克之『脳科学の真実―脳研究者は何を考えているか』河出ブックス,2009年.2007年に文科省の科学技術・学術審議会に脳科学委員会が設置され脳科学研究の基本構想や推進の方策についての審議がなされている.2009年には第一次答申案も出された.脳研究の大…

林竹二,くる?

東大教育学部のシラバスをみる.ウェブで.もうとにかく専任教員(しかもかなりのヘビー級の方ばっか)の人材流出が止まらない東大教育学部.でも歴史を紐解けば,とくに最近に始まった傾向でもないけどね.この傾向は歴史社会学的検討に値しますぞ.なんで…

技芸(アート)としての大学教育

昨日のNHKスペシャル「セーフティネット・クライシスvol.3 しのびよる貧困 子どもを救えるか」を見た.よくできていたと思う.途中,学費負担ができないがゆえに進学(大学であったり看護学校であったり)を断念せざるを得ない生徒,いやそれ以前に高校教育…

「学力」研究,雑感

これは質の低い雑感である.詰めた考察は改めて行う(どうせそういう機会がすぐくる)....という保険をかけたうえでいうと,今の日本の教育社会学の「学力」研究は偏向している.「格差」しか見ていない,という意味で.私の気のせいでなければ,そこに…

思想はエビデンスに勝る。

われながら最近「教育学」関連ばっかりだな.で,今井康雄(編)『教育思想史』有斐閣. 思想はエビデンスに勝る。(5頁) ほう. 教育思想が変われば,何がエビデンスの名に値するかも変わることになるだろう。エビデンスは教育を考えるうえで無視してはな…

行政の下請け教育学w

広田照幸『ヒューマニティーズ 教育学』岩波書店,2009年.よい.ここしばらく自分でやってみようかと色気が出ていた類の仕事もすでに大筋でやられているのを確認して読了.とくに3章(2)「教育可能性に向けたテクノロジー」の箇所.もう少し詰めた議論もで…

「教育(学)」をいかに語るか

最近すっかり「教育学」者としてのお仕事に駆り出されまくりの広田照幸先生.まあ引き受けてるんだからしようがないですけどね.岩波ヒューマニティーズ・シリーズのほうは貰えないみたいなんで(←最初から期待すんなよ)買いました.けれども今日は先日いた…

オープンキャンパスでおトク

もう一昨日のことになるが私個人としては今年度3回目のオープンキャンパス(以下,OC)へ出勤してきました.私の勤務する大学は3月・6月・7月・8月・10月・12月と年に6回OCが実施される(うち12月は大学祭との同時開催).今年度私の担当は6月の模擬授業…

おべんきょうしながら,いろいろ雑感

建築評論や建築史を専門とする人も,建築の設計図は(書けと言われればたぶん)書けるのでしょうね.同じ水準で教育評論や教育社会学・教育史あるいは教育心理学を専門としている人のなかで,学校の教育計画or教育課程(=教育の設計図)を編成することが(…

『ニッポンの思想』で考えてみた

「新書で考えてみた」シリーズ第一弾.今思いついた.第二弾があるんかどうかは知らん.昔,修論で参考文献に新書が載ってると怒ったり馬鹿にする人(先輩)がいたけど,そんなことないよ.新書以下の学術書なんていっぱいあるよ.学術書以下の新書はもっと…

 現代の教育研究・覚え書き

戦後の学習指導要領の改訂の経緯を眺めてくると,それが経験主義・進歩主義・児童中心主義といった「自ら学ぶ主体」としての《子ども本位》の教育理念と,系統主義・注入主義といった「知識重視」の《教師本位》の教育理念とのあいだを振り子運動のように往…

ロールモデルになれない親たちへ

子どもの教育達成にとってロールモデルが身近にいるかどうかが重要な要因であることは周知のとおり(最近では阿倍彩さんの『子どもの貧困』岩波新書など).とりわけ親がそうなれるかどうかという要素は大きい.そして,そのことを誰より深く(研究者より深…

教育学をつかめる?

稲葉振一郎さんの『社会学入門』に感化されて少し構想がわいた.「社会契約論→ルソー/デュルケム→教育学」で同じラインの仕事ができないか色気がでる.ちょっと教科書ものを物色.最近でた有斐閣の「つかむ」シリーズから『教育学をつかむ』.しかし,少し…

中堅以下底辺あたり高校の進路指導

今日は教員免許状更新講習・選択の「若年労働市場の変容と進路指導」という,いまどきいろんなとこで聞きそうなお題のお話をしてきました.参加する教員のほうも大変ですな.この講習1日分(6時間)に1人6000円お支払いになっているわけですので.そ…

学生に助言できる大学教員

今日のNHKニュースウォッチ9から.経済的理由で大学を辞める学生増える,と.映像は熊本の大学を中退した元女子大学生.両親とも中卒,父親は死去し,母子家庭.母親は(おそらく無理な労働がたたって)病弱.本人は高校時代から奨学金を受けて高校を卒…

『教育と平等』からの方法論的考察(書きなぐりver.)

こんなことしている時間的余裕はないのだ,とわかっていても広げてしまう本というのがありますね.アマゾンさんが届けてくださった以上,これを読まずには他の仕事を進められないという感覚.苅谷剛彦『教育と平等――大衆教育社会はいかに生成したか』中公新…