2010-01-01から1年間の記事一覧

晩歳の恋――あるいは「ボケないための7か条」

先日,親父が死んでもう20年近く母親が一人で住んでる実家に帰ってきた。テレビの上のカレンダーには筆ペンで書いたデカい文字で「ボケないための7カ条」とある。「自分で料理をする」とか「散歩をする」とか無難に続いた最後の7カ条目は「恋をする」。ちな…

生活変動仮説

中川清『日本都市の生活変動』(勁草書房,2000年)の生活変動仮説。冗長にはなるのだが,私はいちいち生活構造‐変動仮説,と呼び直す。環境変動への抵抗の枠組み(=生活構造)が析出されて‐そののち‐その変動の軌跡がトレースされる,のであって,単なる生…

何年ぶりかの完全徹夜。

気がつけば,もう1ヶ月も更新がなかったわけである。ここのところ,結構な頻度で東海地方の小学校へと調査出張に出かけておるわけで,正直,そんなブログとかいってる余裕もない。調査途中であるわけで,具体的なあれこれをブログごときで語れるわけもないの…

公的な職業能力開発の場が消えるという選択をめぐって

数日経ってしまいましたが,田中萬年先生がご自身のブログで 独立行政法人雇用・能力開発機構法の廃止法案 に関して,以下のような呼びかけを行っていらっしゃいます。「独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案」本日閣議決定 厚生労働省は「独立…

比較教育社会史研究会2010年度秋季例会プログラム

今年も比較教育社会史研究会,秋の部,開催の日が近づいてまいりました。今回もここ数回と同様に,科研共同研究「「子ども」の保護・養育と遺棄をめぐる学際的比較史研究」研究会との合同で開催,ということのようです(←後半の部「福祉国家と教育」セッショ…

祝・合格

ずいぶんとブログに寄りつかなくなったものだ。最近は愛知県の知多半島の根っこあたりに足しげく通わせていただいている。私みたいなもんが。ありがたいことである。責任も感じている。「お前がフィールドワーク?」と昨夜も笑われたが,ほんとに冗談ではな…

学会だん。

おまっとさんでした(←キンキン)。ところで昨日(もう一昨日?)まで日本教育社会学会第62回大会@関西大学。連休最後の今日は寝て過ごす。その後,つぎの締め切り祭りに向けた準備を開始し,今年から新しく担当することになった(すでに始まっている)授業…

「戦後教育の問題」の所在

2学期の授業も始まり,なんやかやと慌ただしいなかブログの更新は滞りがちになる。正直,twitterというサービスの誕生は,(少なくとも私程度の人間にとっては)ブログの有用性を有意に低める(笑)。ブログに書いていた程度のことはツイッターでつぶやける…

いまどきの「AO入試」事情で考えてみた

私の前任校は地方・無名・小規模・私立大学という「悪」(?)条件がいくつか重なっている割には,主に教員採用を中心とした就職実績の堅実さから,高校の進路指導主事の先生方からの信頼が厚く(←これ重要。ただし,この大学のことを知ってくれてる高校限定…

夏バテ。

まーなんというか,完全に夏バテである。8月の締め切り祭りは前半をめでたく折り返し,あとは比較的余裕をもって流せると思いつつも,あーそうか必殺3学期制のわが職場は9月頭から授業が始まり,そういやおれ新しい科目の準備まだ全然進んでねぇじゃん,とか…

教社学会9月。

ちなみに前回気持ちの悪い切り上げ方をしていたが,前エントリででてきたアケミ(仮名)さんは,そのときの修羅場はなんとか乗り切って退学にならずに済んだ。お母さんが親戚中走り回ってお金を工面した。その後どうなったかは確認していない。私は自分の「…

初心。

最近ブログのほうがつまんなくなっていた。いろんな理由が複合的に重なってるけど,こんなんじゃやり始めた意味がなくなるな。なんかただの教育ブログ,研究(メモ)ブログになってきた。しかも自分にとっての「本流」でないものばかり(それが重要でないと…

交錯するパラドクス(5節=最終回)――職業訓練論が提起する「非教育の論理」との対話

8月7日(土)に明治大学で開催される「非教育を考える懇談会」予稿集に寄稿した文章です。最終回の今日は5節と参考文献。あとは明日の懇談会を待つのみです。いろいろと詰めどころ満載の拙い中間報告ではありましたが,最後までお付き合いくださり,ありがと…

交錯するパラドクス(4節2項)――職業訓練論が提起する「非教育の論理」との対話

8月7日(土)に明治大学で開催される「非教育を考える懇談会」予稿集に寄稿した文章,4回目の今日は4節2項。最近,本ブログでブツブツつぶやいていた内容のとりあえず中間報告的な内容です。なお,懇談会の開始時刻は13:30に変更です。 交錯するパラドクス―…

交錯するパラドクス(4節1項)――職業訓練論が提起する「非教育の論理」との対話

ちょっと4節は分量もありますし,1項はテクニカルな話も入るので,細かく刻んでアップします。8月7日(土)に明治大学で開催される「非教育を考える懇談会」予稿集に寄稿した文章,3回目の今日は4節の第1項のみ。参考文献の全体は最終日に。今日は関連するも…

交錯するパラドクス(3節)――職業訓練論が提起する「非教育の論理」との対話

8月7日(土)に明治大学で開催される「非教育を考える懇談会」予稿集に寄稿した文章です。2回目の今日は3節。5回の連載のなかで,ここが一番分量的に膨らんでしまいますが,3項に分かれていますので休み休みご笑覧ください。 交錯するパラドクス――職業訓練論…

8月7日(土)「非教育を考える懇談会」に向けた拙ブログ企画のお知らせ

みなさん,ご無沙汰しておりました!どうもやっぱりツイッターなんちゅうもんがありますと,ブログのほうは「ダイアリー」はもちろん「ウィークリー」もなかなか難しくなりますな。どうでもいいエントリというものの行き場がなくなりますわ。だからというわ…

交錯するパラドクス(1節・2節)――職業訓練論が提起する「非教育の論理」との対話

8月7日(土)に明治大学で開催される「非教育を考える懇談会」予稿集に寄稿した文章です。1回目の今日は1節・2節。2節の内容は本ブログをこまめにチェックしていただいている方には既読の内容が続きます。あしからず。 交錯するパラドクス――職業訓練論が提起…

捩じれの思想家(?)・佐々木輝雄

結局のところ,問題は,「教育の機会均等」の実質的な保障に関する方法論上の対立をどのように超克するか/しうるか,というところにある。実践上の課題――一斉教授様式/個別化・個性化教育学習――として,そしてまた,制度設計上の課題――単線型学校教育制度“…

「僕達の職業訓練」とは何か――佐々木輝雄講義録より

むかし,いまから15年ほど前,その被差別部落は日本でも有数の大規模部落であったが,1990年代半ばのその時点で私がそこに行ったとき,その地区で現役の高校生は1人しかいなかった。中卒で働くか,高校に入学したとしても1学期のうちに退学するのが通例だっ…

教育学者に問う。

wiki情報なり。堀尾輝久【略歴】1933年,福岡県の職業軍人の家庭に生まれる。元NHKアナウンサーの杉山邦博は実兄...... ん? 元NHKアナウンサーの杉山邦博は実兄...... 元NHKアナウンサーの杉山邦博は実兄...... 元NHKアナウンサーの杉山…

続・佐々木輝雄と「教育の機会均等」――備忘メモ

今日のこれは備忘メモである。まだ読み始めたばかりなので本格的な考察は後日に譲る。私はその前に萬年先生の著書を読まなければならない可能性がある。佐々木輝雄の「『教育の機会均等』概念のパラドックス」という考え方は読み取りが難しい。しかし,これ…

大学教育の記憶

「最近の学生は勉強しない」「非常識だ(受講態度や勉学姿勢その他に関して)」「学力が低下している」「こんなこともできない」「あんなこともできない」...(以下省略)...とぶつぶつ言ってる大学教員がいた場合,ほぼ例外なく,その大学教員のほう…

言葉たちの葬送(1)「システム」――20世紀教育-社会システム

たぶん5,6年ほど前に何かの拍子で書き留めていたメモ。パソコンの中身の掃除してたらでてきた。参考文献は,まあ,雰囲気で,ね。 日本社会に〈20世紀教育‐社会システム〉とでもよぶべきものが措定できるのではないか。そのシステムの形成と変容のプロセス…

最近の息抜き

最近なんかブログの更新億劫になってるな,と思っていたら「どうでもいいエントリを書く」ということを疎かにしていたことに気づいたのであった。少しずつアクセス数が伸びるにつれ,そして,オフラインで存じ上げている方が拙ブログを見ている事実を知るに…

続・佐々木輝雄論集

しかし萬年先生のブログを拝読するにつけ,なんか私は自分でずいぶんレートを上げてしまったようにも思われるが,それはきっと気のせいである。この内的な感覚を「背筋が寒い」と名づけよう。いろんな方向で,なんかすごいことになっておる。佐々木輝雄職業…

佐々木輝雄と「教育の機会均等」・序

ふたたび田中萬年先生よりお送りいただきました。佐々木輝雄職業教育論集・全3巻,多摩出版,1987年。金子さんが「それにしてもこんな天才的な学者の研究を知らなかったとはまったく自分の不明を恥じ入るばかり」とまで評する研究者の論集である。萬年先生の…

福祉と教育

もうだいぶ時間がたってしまったが(←最近こういうのばっかだ),比較教育社会史研究会・若手別動部隊(←などと呼んでいるのは私だけだマネしちゃダメ)の研究会にお邪魔してきた。相変わらず,世界のいろんな地域の(←というわけでもなかった,ちょっとイギ…

辺境性と境界人性――あるいはブログ名の由来について

ご無沙汰しておりました(←挨拶)。むかし,大学院にあがりたての頃,日本教育社会学会の学会誌『教育社会学研究』の創刊号から当時の最新号までの全「活字」を読破する,という無意味な企てを実行してしまったことがある。全「活字」というのは,論文はもち…

拙稿ご紹介

昨日は件の研究会でした。1日頭を使い続けるという機会が少なくなっていたところに寝不足のまま朝から夜の飲み会まで“祝祭”が続きましたので,いささかならず疲れましたが,ま気持ちのよい疲れです。関係者のみなさま,お疲れさまでした。そのとき少しだけ話…