夏バテ。

まーなんというか,完全に夏バテである。

8月の締め切り祭りは前半をめでたく折り返し,あとは比較的余裕をもって流せると思いつつも,あーそうか必殺3学期制のわが職場は9月頭から授業が始まり,そういやおれ新しい科目の準備まだ全然進んでねぇじゃん,とか,学生のレポートの添削もしてやらんとなんねぇし,とか思っているうちに,16日の研究会が終わって一息ついた翌日に今まで噂には聞いていたが自分ではついぞ経験したことがなかった(そして自分がその症状になるとは夢にも思わなかった)症状で1日ダウン,それ以後の2日はリハビリ生活という体たらくである。奥さん来てるときでよかったぁー。

そんなわけでオフラインの仕事で必要な作業は若干お時間いただきたい,と。ブログでもやろうと思ってる企画はありますが,そんなことを実行に移そうという心構えのできる状況でもありませんので,誰にも心待ちにされていない,最近みた映画の話題を語る(断言)。

「告白」2010年東宝.

監督・脚本:中島哲也,原作:湊かなえ「告白」(双葉社刊),主演:松たか子

それ仕事が煮詰まったときの気分転換のためのチョイスとしてはどうなん?という奥さんの冷たい視線を尻目に行ってきた。アリエッティとどっちにするか悩んで行ってきた。教え子から「教育を考える者として見ておくべきですよ,せんせー」とまで言われたら,ああそうなん,といって見に行くのが筋というもんでしょう。

でまあ,あらすじとかよう知らんままに「なんか中坊が人殺して松たか子がその復讐に燃えて」みたいな中途半端な聞きかじりで見に行きましたが,悪くはない。奥さんが忌避していたいやな感じのドロドロ感は全然なくて,むしろ全編音楽が流れ続ける,音楽PVみたいな作りで,逆に気分転換にはぴったりw 「下妻物語」(2004年)や「嫌われ松子の一生」(2006年)の中島哲也監督ならではの作り。

しかしきみぃ,この映画で「教育」は語れんよ。これで「教育」語るっつーのは「インディペンデンス・デイ」を見て「アメリカ政治」を語るのと同じくらいのアグレッシヴネス! 私には無理です。

見事なまでに登場人物の誰にもリアリティを感じん。「共感」以前に「いねぇ―わこんなやつ」としか思えん。とくに事件の一番中心になる中坊の動機の核心とか,それもってくるのってどうなん? というレベルである。これほんとに原作話題になったの? あと細かくいうと,気鋭の天才的物理学者の本棚に和書しかなくって「わたしがこの世界に入ろうと思ったきっかけの本」っていうのも和書って,ぜってー無理があるぞ。

しかし役者さんはみんながんばっておった。

「いじめ」とか「少年犯罪」とか「家庭崩壊」とかいう設定即「教育」について何事か語れる/語るべきというおっちょこちょいはよくないです。少なくともこの映画に関してはそうした「設定」はお話を転がすためのスパイスに過ぎない。「宇宙人がやってきた!」とおんなじ次元です。

よくできたミュージックビデオ(←死語)である。