フィールドワークの技法と実際

箕浦康子先生(編)の10年隔てた続編が刊行されている.先日の天野先生といい,懐かしさと畏敬の念とわが身を振り返るときの恥ずかしさと,ないまぜになりつつページをめくる.

現在,卒論指導をしている学生がフィールドワークをもとにした卒業研究に入りつつあるので,その指導用に「マイクロ・エスノグラフィー入門」の冒頭4章分を予習.自分が修士のときの学部ゼミ・院ゼミをもとに構成された入門書.出された宿題も印象深く記憶に残っている.

改めて読むと,箕浦先生自身,手さぐりしながら必死で作っていたゼミだったのだと感慨にふける.たしか私の修士2年目のゼミで(違ったかもしらん,自分に都合よく記憶を改竄しているおそれあり)私自身は修論のテーマが変わっていき,このゼミを最後まで貫徹しなかった落第組だ.ゼミ学生・院生がゼミのなかで書き上げたエスノグラフィーも後半に収録されている.すでに研究者としての地位と業績を確立されたかたも多く含まれている.

箕浦先生のゼミでは,既存の理論や学説に書かれた言葉ではない,箕浦先生自身が探り当て生み出した〈ことば〉によって,さまざまなことが議論されていたように記憶する.

思い出話を始めるとキリがなくなりそうなので自制しておきますw.

...が,ひとつだけ.

「関西なまりの英語」というのを初めて体感したのは箕浦先生によってだった.ほんとに「関西なまりのイングリッシュ」だった.「日本人なまり」ではなく.

“きれいな英語を話すことが重要なんじゃない.いろんな国なまりの英語を,正確に聞き分ける能力のほうが重要なのよ”

と教えてくれたのは,東大で博士号を取得後,現在はUNHCRで働く,箕浦先生の東大時代の教え子の一人で,私の大学院での同期で友人の彼女.

元気かなぁ? いまどこだ,タンザニアか?

フィールドワークの技法と実際〈2〉分析・解釈編

フィールドワークの技法と実際〈2〉分析・解釈編