精読モード

天野先生の『大学の誕生(上)』(中公新書,2009年)読み始めましたら,『日本近代教育百年史』とかひっぱりだして精読モードに入ってしまいました.新書の読み方じゃないかもですね.ちょと時間かけます.

『比較教育社会史研究会通信』第8号

お送りいただく.ありがとうございます.学会組織になることをあくまで拒絶しつつ,2002年から実に7年間,こうしたオープンで学際的な研究ネットワークを維持してこられたことは,後年,必ずや振り返られるべき一つの遺産となりつつあると思います.中身は3…

『労働者と農民』と「教育の歴社会学」(4)

とりあえず最後です. ■(3)「差別・抑圧・搾取」問題:“個”がいかに析出されてきたかの主体的側面 戦前日本の地主-小作関係や労資関係の前近代性を“差別・抑圧・搾取”という観点で捉えるとき,そうした苛烈な身分・階級関係の最底辺で生きる人々の「意識」の…

『労働者と農民』と「教育の歴史社会学」(3)

■(2)「階級概念の単位」問題−2:階級閉鎖的なまま階級形成的に展開した近代日本(あいかわらず瑕疵が目立ちますが,そこはまひとつ)また,「階級概念の単位」問題は先の「近代日本の階級は開放的」とする論点にもかかわる.近代日本の階級開放性を強調する…

『労働者と農民』と「教育の歴史社会学」(2)

■(2)「階級概念の単位」問題−1:“個”がいかに析出されてきたかの構造的側面(いろいろ瑕疵のある叙述が続きますが,まそこはひとつ) 「階級概念の単位」問題を典型的に示すのが小作農家と女工との関係のありかたである.さて,結婚前の何年間かを製糸・紡…

『労働者と農民』と「教育の歴史社会学」(1)

原点回帰で問題を考え直す今日この頃.むか〜しのメモ.個票データを用いた社会移動の計量的歴史研究からどのようにブレイクスルーするか.〈計量〉の向こう側の〈計量されざるもの〉をどのように叙述するか.中村政則『労働者と農民』(小学館ライブラリー…

戦時期の私立大学

伊藤彰浩,2009「戦時期私立大学の経営と財務――『苦難の日』だったのか?」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(教育科学)』第55巻第2号.ご恵投いただきました.ありがとうございます.大学紀要論文には時に大きな挑戦的研究の予告編・前哨戦ともい…

戦後社会史を読み替える

映画評や書評ばっかり続いてもしようがないので,少し別のエントリを.『思想地図』vol.2に寄稿した拙稿「『総中流の思想』とは何だったのか」をお送りした敬愛する(数少ない)研究上の先達から望外のご返信をいただく.「戦争(敗戦)体験という変数を入れ…

ファシズムと現代

神島二郎「天皇制ファシズムと庶民意識の問題」『近代日本の精神構造』岩波書店,1961年.「階級分化」が階級分化としてひとびとに映じないで、秩序感覚の不安としてあらわれるがゆえに、それは正体の分からぬ危機であり、同時にまたそれゆえに烈しいとも言…