(告知)「多様な教育機会を考える会」と教育学会ラウンドテーブル

満を持して(?)ということでもないのですが、告知です。

2年前の8月終わり近くに3人で始め、その後少しずつ人数も増えていき、2016年の4月から本格的にスタートしました、「多様な教育機会を考える会」というのをほそぼそと継続しています。

今回、8月25日(金)に開催される日本教育学会第76回大会ラウンドテーブルで「公教育の再編と子どもの福祉――「多様な教育機会」の視点から」を開催します。それにあわせて、本会の簡単なウェブサイトも開設しました。

会の趣旨と、そういう趣旨の会ができあがった経緯はこちらに書いたとおりです。最下部にある名前をみて(私とか山田さんとか同姓同名の多いタイプも混ざっていますが)、知っている名前があり、かつ、趣旨文を読んで関心を持ったという方は、遠慮なくこのうちの誰かに話しかけてみてください。

見知った人間がいない、でも関心はある、という方はこちらに掲載している連絡先(つまり私になってしまうわけですが)宛てにご連絡ください。念のため補足しておきますが、研究者でないと入れないとか、そういうことはありませんので。実践にたずさわっている方や、なんらかのかたちで当事者であった/あるという方、強い関心をもっていて深く掘り下げて考えたいという方など、広くお待ちしております(レスが遅れることがあるかもしれませんが、あらかじめ悪しからずご了承ください!)。

これまでとくに告知もせず、粛々と議論を進めてきた会ですが、今回はじめて「外部」に向けた発信の場を企画しました。8月25日(金)の17:00〜19:00に桜美林大学(明々館 A812 )で開催するラウンドテーブルですが、日本教育学会第76回大会プログラムを見ますと(私も学会員になってまだ3ヶ月ですのでいちいち確認しないといろんなことがわかりません)、「ラウンドテーブルのみ参加」という枠があるようで、それだと「1,500円」で入れるみたいです。こちらにプログラムのPDFファイルへのリンクと、本ラウンドテーブル該当部分の内容転載とを示してあります。(※なお、山本・土岐報告のもととなる平成28年厚生労働省社会福祉推進事業の報告書と別冊資料編はこちら(NPO法人さいたまユースサポートネットさんのウェブサイト)からダウンロード可能です。)

これまでの活動はこちらで紹介しています。

日本において「(正規の)学校」とは、学校教育法第1条に規定された教育機関――ですのでしばしば「1条校」とも呼ばれます――のことを指しますが、ざっくり言うと、それ以外(「正規」に認定された「学校」以外)の学びの場(教育機会)をめぐる問題を考えていこうという会です。そういう集まりはもうすでにいくつもあるわけです――試みにググると「多様な教育を考える会 東海」というネットワークがすでにあることに気づき、「類似名の会を増やしてしまってすんません(でも以後お見知りおきを!)」という思いでいっぱいです――が、私たちの会の特徴は、いまのところ、社会福祉社会保障・社会政策よりのアプローチに片方の軸を置いているところかな、という気がします。「これまでの活動」にはまだ十分反映されていませんが、外国籍児童・生徒の問題をはじめ、会の射程に入るべきテーマは山積です。今後はこれまで以上にメンバーの多様化を図っていきたいとも考えています。

★過去の備忘録
とくに秘密主義でやってきたわけではありませんが、とりたててこのブログでご紹介してきたわけでもありませんでした。ですが、2015年の夏以降は、自分の備忘録にといくつかメモをしたためてはいましたので、いくつかサルベージ。
年末につき覚え書き 2015-12-30
根本問題 2016-05-08
社会の・多様な教育機会 2016-08-06
多様な教育機会と教育費メモ 2016-08-17
「さとにきたらええやん」をみにきたらええやん 2016-09-10
矛盾の解決 2017-07-19

すでに上のエントリのいくつかで「佐々木輝雄」という職業教育・職業訓練研究者の名前と、そのひとの文章が引かれています。職業訓練という対象じたいがすでに「多様な教育機会」の射程に入っているわけですが、それ以上に、佐々木が職業教育・職業訓練を論じる「発想」が、いま私たちが「多様な教育機会」を考える際の重要な道標になる気が(個人的には)しております。その佐々木輝雄に関連して数年前のいくつかのエントリから。
佐々木輝雄と「教育の機会均等」・序 2010-06-23
続・佐々木輝雄論集 2010-06-24
続・佐々木輝雄と「教育の機会均等」――備忘メモ 2010-07-03
「僕達の職業訓練」とは何か――佐々木輝雄講義録より 2010-07-20
捩じれの思想家(?)・佐々木輝雄 2010-07-24

上記「「僕達の職業訓練」とは何か」と同じ佐々木のテクストを参照しながら、しかし、その読みの「素朴さ」からは距離をとり、当該テクストを「ポストモダン教育学・教育思想」の可能性(と限界)の所在を示すものとして読み込むという力業(?)を駆使した稲葉振一郎氏の「斜めからみる「日本のポストモダン教育学」」もついでにサルベージ。稲葉さんは本会のメンバーではありませんが(少なくともいまのところ)、ちょっと他では読めないような独自の論考でありますので、あわせてここでご紹介。

私たちが今後、軽々に「オルタナティブ」と口走りそうになったときには、

しかしそれは決して近代学校教育に対するオルタナティブなどではない。それはあえて言えば、近代学校教育の下位システムであり、補完物である。(稲葉(2011)前掲

との稲葉さんの(佐々木評価を踏まえた/職業教育・職業訓練を念頭に置いた)ことばを肝に銘じておこうと思います。

(あ、「福祉と教育」というエントリもありましたが、でもこれは別研究会で指定された文献を読んだときのメモですね。)

なお、私はこの会の連絡役を務めてい(る数人のうちのひとりではあり)ますが、この会には「代表」にあたる人物はおりませんので、私も「代表」ではありません。私の見解は私個人の見解であって、この会の見解ではありませんので、これも念のため。

というわけなので、メンバーのおひとり金子良事さんのブログからも、本会立ち上げ準備に入ったあたりのエントリから独断で勝手にサルベージ。
社会政策と教育についての覚え書き 2015年12月25日 (金)
社会政策と教育についての覚書(2) 2015年12月30日 (水)
岩田正美『社会福祉のトポス』を読む 2016年02月25日 (木)
評価制度と質? 2016年04月12日 (火)
志賀信夫・畠中亨編『地方都市から子どもの貧困をなくす』旬報社 2016年06月11日 (土)
第25回大原社会政策研究会の告知、教育と福祉に関心のある方へ 2016年08月21日 (日)
教育と福祉の覚え書き 2016年09月09日 (金)
吉田久一シンポジウム 2016年11月15日 (火)
東海ジェンダー研究所編『資料集名古屋における共同保育所運動』日本評論社、2016年 2016年12月16日 (金)
『子どもの貧困を問う』シンポジウムのお知らせ 2017年07月14日 (金)

たぶん関連エントリはまだ遡ればいくらでも掘り出せると思いますので、ご関心の向きはぜひ。というか、もうめんどくさいので本人と直接お話ししにきてください。

さて、最後にもうおひとかた、澤田稔さんのブログから。澤田さんといえば、あのマイケル・アップルの薫陶を受けた批判的教育研究、カリキュラム・教育方法論がご専門の教育学者です。このエントリに辿り着いた方であればきっと、Michael W. Apple & James A. Beane, (Eds.). Democratic Schools: Lessons in Powerful Education (2nd ed.). Portsmouth, NH: Heinemann, 2007. の翻訳マイケル・W・アップル, ジェームズ・A・ビーン編、澤田稔訳、『デモクラティック・スクール――力のある学校教育とは何か(第2版)』上智大学出版・ぎょうせい、2013年)と、この第2版巻末に置かれた有用・超弩級の「解説」でご存じでしょう。

過去のエントリ一覧を見ると、『デモクラティック・スクール』関係、マイケル・アップル関係の記事などももちろんなのですが、個人的には(本会立ち上げ準備前の記事ではありますが)、

ソーシャル・マジョリティ研究会セミナー2014 2014-08-24

などは本会がらみで、一読されてよい記事かなあと思います。

ということで、なんやかやゆうておりますけれども、以後、お見知りおきを。

よろしくお願いいたします <(_ _)> 。

デモクラティック・スクール 力のある教育とは何か

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