Hiroshi Ishida & David H. Slater(eds.), Social Class in Contemporary Japan: Structures, Sorting and Strategies(Routledge, 2009.11)
キタ!...ってか出た!
- 作者: Hiroshi Ishida,David H. Slater
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 2009/10/16
- メディア: ハードカバー
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1. Social class in Japan
( Hiroshi Ishida and David H. Slater)
Part 1 Class structure
2. Does class matter in Japan? Demographics of class structure and class mobility form a comparative perspective
(Hiroshi Ishida)
3. Marriage as an association of social classes in a low fertility rate society: towards a new theory of social stratification
(Sawako Shirahase)
Part 2 Class sorting
4. From a credential society to “learning capital” society: a rearticulation of class formation in Japanese education and society
( Takehiko Kariya)
5. Social class and economic life chances in post-industrial Japan: the “lost generation”
(Mary C. Brinton)
Part 3 Class socialization
6. The “new working class” of urban Japan: socialization and contradiction from middle school to the labor market
(David H. Slater)
7. What color is your parachute? The post-degree society
(Amy Borovoy)
Part 4 Class strategies
8. Motherhood and class: gender, class, and reproductive practices among Japanese single mothers
(Aya Ezawa)
9. How ethnic minorities experience social mobility in Japan: an ethnographic study of Peruvian migrants
( Ayumi Takenaka)
言うとご迷惑をかけることになりそうなのであまり言わないことにしているが,学振のPDをやっていたときの恩師・石田浩先生.日本を代表する(というか思いきっていうと「最高の」)計量的社会階層研究/比較社会階層論の研究者である.もちろん,(これ以上はないほどの)不肖の指導生.簡単にいうと,落ちこぼれ.
ただし,こうは言える.“あの”緻密にして明快・明晰な計量的/比較社会階層研究が明らかにする「日本社会」像とはまったく異なる集合表象としての「日本」像のほうが寧ろわれわれの時代認識や日常的判断の基準に浸潤する(ように思われる)......なぜか? 集合表象としての「日本」像は,計量的/比較社会階層研究がこの上もなく緻密にして明快/明晰に描き出す「日本社会像」とはまったくの別次元において独自の変動の軌跡を描く(ように見える)......いったいなぜ?
本当に解かれるべき「社会学的」な問いはそこにこそあるのではないか.だとして,計量的/比較社会階層研究それ自体は,この問いに対して答えをだせるだろうか?
結果,それ以後の「不肖の指導生」は短くない「研究的失語症」の時期を経て(←おぉ,いい感じでもっともらしい言い訳を発明w),計量的/比較社会階層研究が緻密かつ明快/明晰に描き出す「日本社会」像と集合表象としての「日本」像とのズレと重なりを丁寧にトレースし尽くすことをつうじて,ようやくおぼろげに「この社会」の輪郭を浮かび上がらせる,という方法論に行きつく(もちろん,暫定的に.さしあたっての課題を解くために).それが「言説分析」とよばれるか,他の名でよばれるかは,さしあたってどうでもいい問題である.
やっぱりちゃんと言い直そう.
現代日本における最高の計量的社会移動研究/比較社会階層論の研究者が編者となった注目の書物.目次をみていただければお分かりのとおり,最高の執筆者たちが寄稿している.計量研究に留まらない章構成.必読の書.これら研究の達成水準を踏まえた上で,その上で,何が↑でぼんやりと述べた方法論で(さらになお)明らかにしうるのか.たぶん(まだ読んでないけど),こういう研究を“どのように”読めるかが試金石.
とりあえず来年度のゼミの文献決まってよかったよね,というまとめ.