教員免許更新講習近づく

行ってきました,くるりワンマンライブツアー2009〜敦煌ドンファン)〜,Zepp Tokyo・3Daysの初日.セットリストがどうとかもちろん書けるわけないのですが,(また!)よかったことだけは確か.ウィーン・アンバサーデ・オーケストラとの極上のコラボレーションが生み出した『ワルツを踊れ Tanz Walzer』,ライブ盤『Philharmonic or die』,パシフィコ横浜での映像DVD『横濱ウィンナー』から一転,ドラムのボボさんを加えただけの3ピース構成での2時間余り.ニューアルバム『魂のゆくえ』からはもちろん,過去の作品からも.ニューアルバムそのものもそうですが,シンプルで聞き飽きがこないライブでした.それにしても一作ごとにめくるめく音楽的変容を重ねつつ,核となる部分については――スピリットの部分,としか言いようがない――「くるり」でありつづける,というのは表現者としてまことに稀有なありようかと思います.

さて,現在ピークを迎えている疲れの原因の一つが,今年度から本格実施になる教員免許更新講習.私自身は試行実施の昨年度も必修科目を担当しましたが,今年度は必修科目に合わせて選択科目も(!)担当することになっています.その私担当分の実施日程がいよいよ目前に迫ってきています.

まず都道府県毎に具体的な実施状況には大きな違いがあると思いますので,その網羅的な把握ができていない現状では詳細な言及は避けますが,予想されたこととはいえ,いささかならず問題を抱えた政策実施だと言わざるをえません.「初めての試みなのだから問題があって当たり前,問題点を把握した上で改善していく」という文科省の言い分は詭弁と言われてもしかたない.

実施前に予想される問題点については,佐久間亜紀さん(現・上越教育大学)がすでにいくつも論考を発表されて,問題点の的確な指摘をされています.現在,政策実施の渦中に居合わせて改めて佐久間さんの先見の明と,それを公的な場で発言した見識とに感服します.

最初に免許更新制を公的に批判されたのは,前職場におられた当時,朝日新聞紙上での投書欄(署名つき)への投稿だったように記憶しています(今資料を確認しながら書いているわけではないので記憶違いがあるかもしれません).教員養成大学に勤務する今ならわかりますが,これは当時かなりのプレッシャーを感じられたはず.教員養成大学・学部(とくに国立大学法人)にとっては,千載一遇の(相対的にはちっぽけなものかもしれませんが,当該領域にとってはそれなりの重みをもった)「プチ利権(生き残りのための正当化戦略)」となりうる政策導入だった側面があるからです.それを公然と批判された点は(もっと)評価されてしかるべきであろうと(私の勤務大学のような地方・私立の大学には「利権」なんてものは関係ありませんが).

佐久間さんといえば院生時代にはうちの奥さんもいろいろと(私生活上の)相談にのっていただいたこともありますし,比較教育社会史研究会でも研究報告・部会の企画運営・論考執筆etc.を活発になさっていて,なにかと勉強させていただきました.なにかとって,19世紀アメリカの教員養成史をジェンダー視点を軸に読み解くという,そのご研究に.

こうした比較歴史研究の立ち位置から現代日本のアクチュアルな問題(しかも,みんな発言しづらかった問題)にコミットする姿勢というのは,ほんとに,もっとはっきりと評価されないといけないのではないかと思います.

国家・共同体・教師の戦略―教師の比較社会史 (叢書・比較教育社会史)

国家・共同体・教師の戦略―教師の比較社会史 (叢書・比較教育社会史)