偏差値は上げすぎても下げすぎてもダメ

あえて偏差値を上げない大学もある

放っておいても受験料が稼げるブランド大学を別にすれば,中堅以下の大学,とくに(私の職場のように)国立大学のすべり止めを自他共に認める私立大学にあっては,受験料収入最大化のためには「あえて偏差値を上げない」ことのメリットのほうが大きい所が多数あるというのは自明のことでは?

偏差値が正規分布に近似するという前提でいえば,偏差値50に近いところに設定するのが一番合理的でしょう.受験者予備軍が一番分厚くなります.だから,偏差値50を切って「Fランク」とか言われる大学は推薦比率を上げて一般入試枠を絞ることによって偏差値を「上げよう」とする行動が合理的ですが,「ブランド大学圏進出」という無意味な野心さえ捨てれば,偏差値50〜55ぐらいの大学は,偏差値が「上がりすぎないよう」に気を使うのがまったく合理的です.したがって,それぐらいの偏差値ランクの大学は推薦枠を絞り,一般入試枠を確保して,偏差値の「高騰」を抑えるのに決まっているのではないですか?

うちでも「最近,偏差値上がりすぎだわ」とかいって,ピリピリしているというほうが実情ですが.

「偏差値は高ければ高いほどよい」という価値観を前提にしすぎ.大切なのは,この経営環境で生き抜いていくこと.大学経営の論理だけで言えばね.