著者を交えた読書会:『「多様な教育機会」から問う――ジレンマを解きほぐすために』(明石書店,2024年)

多様な教育機会を考える会(通称RED研_rethinking education 研究会)が昨年、明石書店から刊行した「公教育の再編と子どもの福祉」シリーズの第2巻〈研究編〉『「多様な教育機会」から問う――ジレンマを解きほぐすために』の著者を交えた読書会を開催します。
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2回にわけて開催します。6月1日(日)13:30-17:30と、7月28日(月)13:30-17:30の2回です。両方とも対面&オンライン(Zoom)のハイブリッド開催です。対面会場は、1回目が東京で上智大学四谷キャンパス、2回目が大阪で阪南大学あべのハルカスキャンパスとなっています。いずれも交通至便です。

本来はRED研の定例研究会(第42回研究会および第43回研究会)の扱いで、研究会メンバーに閉じた企画となるところですが、今回については、RED研のメンバーとお知り合い、もしくはRED研メンバーの授業履修者、といった関係をお持ちのみなさんには広くご参加いただくというセミオープンな形で開催することになりました。

このエントリを目にされた、私と面識のある方(かつての/現在の授業履修者の方や、対面またはオンラインの研究会でご一緒したことのある方など)で参加を希望される場合は、私宛てにメールでその旨お伝えください。追って会場やURLの詳細情報をお送りします。

1回目への参加予定は、以下の5本の論考の著者です。

第1章 多様な教育機会とその平等について考える――ケイパビリティ・アプローチを手がかりに[卯月由佳]
第2章 〈教育的〉の公的認定と機会均等のパラドックス――佐々木輝雄の「教育の機会均等」論から「多様な教育機会」を考える[森直人]


第8章 教育と福祉の踊り場――「居場所」活動の可能性についての考察[金子良事]
第10章 子ども支援行政の不振と再生――トラスト設置手法を導入したイングランドドンカスター[広瀬裕子]


第13章 後期近代における社会的に公正な教育の実践的論理――批判的教育学からの示唆[澤田稔]

ですので、「第Ⅰ部 教育機会を問う、その問い方を問う」と「第Ⅲ部 教育と福祉の交叉を問う」を中心として、そこに第Ⅳ部所収の第13章も混ざる、という感じ。

同じく2回目への参加予定は、以下の6本の著者(プラス、編者である森直人・澤田稔・金子良事の3名)です。

第5章 多様な子どもの「支援」を考える――登校/不登校をめぐる意味論の変容を手がかりに[山田哲也]
第6章 フリースクールにおける「学習」の位置と価値――行政や学校との連携事例に着目して[武井哲郎]
第7章 不登校児への応答責任は誰にあるのか――1970年代以降の夜間中学における学齢不登校児の受け入れをめぐる論争に着目して[江口怜]


第9章 教育制度と公的扶助制度の重なり――就学援助と生活保護を対象として[小長井晶子]


第11章 教員はどのように居場所カフェを批判したのか[知念渉]
第12章 教員の「指導の文化」と「責任主体としての生徒」観[井上慧真]

ですので、「第Ⅱ部 不登校への応答・支援を問う」と「第Ⅳ部 学校・教師を問う」を中心として、そこに第Ⅲ部所収の第9章も混ざる、という感じです。

1本1本の論考に丁寧な書評を加えていく、というスタイルではなく、著者同士が互いの論考への感想やコメントを述べあうなかで、やがてフロアも交えつつ、「この章を読みながら、別の章と○○なつながりも見えてきました」といった形で、当日参加ではない著者による論考にも自由に言及を広げていくような――ちょうど2巻はしがきの末尾に書いた「他のテーマ・論考にも読み広げ、それら相互の関係性や共鳴しあう要素をみいだす作業」を実践するような――読書会にしたいと考えています。

なお、2巻〈研究編〉の諸論考はいずれも、その寄稿の大前提として1巻〈実践編〉
「多様な教育機会」をつむぐ - 株式会社 明石書店所収の序章「バスに乗る――反復される対立構図を乗り越えるために」を踏まえておりますので、参加される場合はこちらもあわせて読んでおかれるのがよいでしょう。

研究会終了後には(対面参加者には)懇親会が予定されています。澤田さんという懇親会でうまい飯を食わせるプロのいることで定評のある――なにせ上述の1巻〈実践編〉第10章の座談会「「多様な教育機会を考える会」の歩みをふり返る――座談会:阪南大学あべのハルカスキャンパス」では「初期研究会の楽しみ」(pp. 278-279)としてわざわざ項を立てて言及してるほどの――RED研ですので、ぜひ対面で参加された方はこちらもあわせて一度体験してみてください。