【恵投御礼】『概念分析の社会学 2――実践の社会的論理』

すばらしき共著本、2冊目は、酒井泰斗・浦野茂・前田泰樹・中村和生・小宮友根編『概念分析の社会学 2――実践の社会的論理』(ナカニシヤ出版、2016年)です。

同じくナカニシヤ出版から2009年に刊行された『概念分析の社会学――社会的経験と人間の科学』の続編。充実した紹介ページはこちら

著者のうちのお二人からお送りいただきました。ありがとうございます。

手にとって、「はじめに」「ナビゲーション 1〜 4」「おわりに」と、全14章の論考のなかから福祉/教育がらみの数章にざっと目を通しただけですが、これはなかなかです。前著もそうでしたが、論文集でありながら1冊の書物としての完結性、といいますか完成度が高い。それと同時に、各章それぞれの議論の密度も高く、上述のように著書の一部分だけを、それも流し読みしただけでたいへんに脳みそが疲労いたしました。各論考の圧縮率がやや高くてたいへんそうな気もしますが、逆に言えば、これで3,200円というのは破格の安さと言えましょう。

脳みそが疲れるほんとのところの要因はむしろ、「概念連関をたどることによる実践の記述的解明」を行う本書の諸論考が備える抽象性と具象とのかかわりを、具体的な「記述的解明」のなかに読み解く作業に、本来的に付随するものでありましょうが。

なお、本書には前著と異なる点がいくつか指摘できますが、そのひとつは、エスノメソドロジー研究「ではない」社会学者による論考が2編収録されていることです。前著を手に取り、自らの問題意識や研究プロジェクトとの類似性を感得しながら、しかし十全にはそれを実現できてこなかった研究者には、重要な参照点となるかもしれません。

少し時間をかけて、丁寧に取り組みたいと思います。ありがとうございました。

概念分析の社会学2: 実践の社会的論理

概念分析の社会学2: 実践の社会的論理