備忘:続 「ポスト四六答申」

ブログの更新もなく下書きばかり書き溜まりゆく年の瀬、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

昨年翻訳がでたということで、今年の春学期・学類ゼミではボルタンスキー&シャペロ(三浦直希他訳)の『資本主義の新たな精神』(ナカニシヤ出版, 2013年)を学生と一緒に読みました。とはいえ、10週間で「プロローグ」のほかには90ページほどの「一般的序論――資本主義の精神および批判の役割について」(上巻)を読み終えただけですが。

入手しうる批判の装置は、目下のところ、いかなる壮大な代案も与えてくれない。唯一残っているものは、生(なま)の状態の憤慨、人道主義的な仕事、見世物となった苦悩、・・・(中略)・・・だがこうした主張が広がりを獲得するには、より適切な表象と新たな分析モデル、社会的ユートピアが欠けているのである。

とは原著1999年のプロローグ(訳書: 20)より。

師走に入り、自分の研究関心上きわめて重要な聞き取りを行うことができました。できれば来年にも継続的にお話を聞き続けていければと思います。1970年代初頭を折り返しとする大衆教育社会の戦後史――というより現代史――の書き直し。そのインタビュー開始それほど経たないうちに、驚くほどあっけなく、私のなかにあった一つのささやかな「仮説」は裏付けられることとなりました。ですが、そのことの歴史的意義は? われわれの現在地点を評価するうえでの意味とは? そう考えたとき、上掲著書にある「社会的批判」と「芸術家的批判」というアイディアが脳裏をよぎります。来年以降の大きな宿題です。

この目くるめくほのめかし。

さて、さすがにそろそろすべての仕事をその一点にむけて収斂させていかなければなりません。そのためにも年度末までに4つほど、溜めてあるお仕事をしっかりこなしましょう>自分。

もう少しいろいろと頭のなかにあるアイディアの断片をブログに吐き出してしまいたい欲求はあるのですが、今年も残りわずか、整理している時間もなさそうなので、2015年に持ち越すことにいたします。

月1回のエントリ厳守という本ブログ的に今年唯一守れた(誰得)原則をここで崩すわけにはまいりません。

そんなわけで、みなさまよいお年を。

資本主義の新たな精神 上

資本主義の新たな精神 上

  • 作者: リュックボルタンスキー,エヴシャペロ,三浦直希,海老塚明,川野英二,白鳥義彦,須田文明,立見淳哉
  • 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
  • 発売日: 2013/08/12
  • メディア: 単行本
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