「教育の歴史社会学コロキウム」(仮称)がはじまるよ。

アラフォー以上の教育社会学界隈の、そのなかでもなんと物好きなことに歴史研究界隈などに身を置いたことのある者は覚えているかもしれない、前世紀の末頃に「教育社会学歴史研究フォーラム」なる年1回の物好きたちの集まりが存在したことを――

まーそーゆー私ははっきり覚えとらんけどね。+.。ヽ(*>∀<*)ノ。.+。キャハッ

ところで「物好き」のくだりは忘れてください。

往時のブームは去って久しい「教育の歴史社会学」。その一方で、この20年弱のあいだに「移動・選抜」系と「言説・社会史」系とに研究手法のフォーマットが確立し、「通常科学」のフェイズに移行した斯界はむしろ新たな飛躍に向けた土台が準備されたと言えるのかもしれません。

このたび、教育社会学の歴史研究におけるさまざまなサブジャンルやテーマの「交流」を目的とした「緩やかな」研究交流の場として、表題に記した「教育の歴史社会学コロキウム」(仮称)が立ち上がるそうです。

下記に紹介する「お誘い」文にもあるとおり、「『交流』こそが研究を活性化させる」とのポリシーのもと、年5回程度、年会費は徴収せず、参加を希望する人は誰でも歓迎する研究会、として誕生します。

このエントリを目にして参加を希望される方は、本ブログ・プロフィール欄にある私の連絡先までご一報ください。下記連絡先では省略しているメールアドレスをお伝えします。

1回目は11月30日(土)に菊池城司先生(大阪大学名誉教授)と井上義和さん(帝京大学)のご報告。佐々木啓子先生(電気通信大学)の司会で。この三人が発起人。最初の一声は菊池先生かと。

菊池城司先生といえば、何と言っても『近代日本の教育機会と社会階層』(東京大学出版会、2003年)。上述の分類を使えば、いわゆる「移動・選抜」系研究の一つの到達点。マイクロ・データが手にない状態で、既存の統計資料のみで描きうる限界まで描き出した、今後生み出されるであろうマイクロ・データ準拠の計量系歴史研究が「絶対に」参考文献から外すことのできない「羅針盤」。すでにいくつか書評のでている本ですが――そして書評とはそもそもそういうものかもしれませんが――、教育社会学の数ある文献のなかで、およそこの書物ほど評者の力量が試されるものもないでしょう。「評者」の実力を映し出す「鏡」です。我こそはと思われる方は一度力試しに蛮勇を奮ってみるのも一興です。

すでにその「あとがき」には、「本書において詳しく追求できなかった事実関係や問題群が残っており、それらに関しては引き続いて『メリトクラシーの社会的起源』において検討することになる」(411頁)と予告されていました。下記の第1回プログラムをみるかぎり、宣言通り無事書きあげられたようです、メリトクラシーの社会的起源』

必読です。

これもいわゆるあれです、教育まわり1930年代生まれ研究者いつまで現役なのか問題というやつです(いい意味で

とくに昔の「フォーラム」時代を知らない若い世代の方や、教育社会学の「外」にありつつ、しかしながら斯界との研究交流を望まれる方などはぜひ一度参加してみてください。私も可能な限り参加したいと思います。なお、参加される場合は前日までに下記アドレス(といっても(略)にしていますので、上述の通りまずは私までご一報ください)に連絡を、ということです。佐々木啓子さんの職場のメールアドレスをすでにご存じの方はそこに直接ご連絡ください。

「教育の歴史社会学コロキウム」(仮称)へのお誘い


この度、教育社会学の歴史研究に関心のある研究者を中心に、研究会を開催しようという提案があり、「教育の歴史社会学コロキウム」(仮称)を構想しました。この研究会は、教育の歴史社会学あるいは教育社会学の歴史研究に関心をもつ人々の「緩やか」な研究交流の場としますので、参加を希望する人は誰でも歓迎いたします。この会は、戦後史、比較史を含めて、広く教育の歴史研究におけるさまざまなジャンルやテーマが『交流』することをめざしています。『交流』こそが研究を活性化させると信じるからです。


研究会は以下のように開催したいと思います。
1.研究会は2カ月に1回(年5回程度)開催する。
2.テーマを特定せずに、できるだけ広範囲に参加者を募る。
3.発表者2名、各発表は質疑応答を含め1時間半とする。
4.(略)
5.(略)
6.年会費は徴収せず、実費(数百円程度)を徴収する。
7.(略)

第1回 教育の歴史社会学コロキウム プログラム


【日時】2013年11月30日(土)
【会場】電気通信大学・東1号館・705会議室(7階)
http://www.uec.ac.jp/about/profile/access/
【発表者およびテーマ】
司会進行:佐々木啓子(電気通信大学


(1)菊池城司(大阪大学名誉教授)13:30〜15:00
メリトクラシーの社会的起源』を書いて考えたこと


(2)井上義和(帝京大学)15:15〜16:45
教育の歴史社会学の現在


【連絡先】
教育の歴史社会学コロキウム事務局
電気通信大学・共通教育部・佐々木研究室
e-mail:(略)
tel&fax:(略)

楽しそうでしょ?

ぜひ。

近代日本の教育機会と社会階層

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