比較教育社会史研究会2010年度秋季例会プログラム

今年も比較教育社会史研究会,秋の部,開催の日が近づいてまいりました。今回もここ数回と同様に,科研共同研究「「子ども」の保護・養育と遺棄をめぐる学際的比較史研究」研究会との合同で開催,ということのようです(←後半の部「福祉国家と教育」セッション)。また,午前の部(←「戦時体制下の障害児者の教育」セッション)は若手部会による企画で,こちらはこちらで科研共同研究としての申請が目指されているもののようです。このブログを参照して参加を「初めて」希望される方は事前に一言連絡を入れておいたほうが話がスムーズかもしれません。当研究会になんのツテもないけれども研究内容には非常に関心がある,という若手研究者の方は(←基本的に自己申告制ですがw,まあ院生以上,期限なし常勤未満?というあたりでひとつ),森までご一報ください。私経由でご連絡させていただきます。後半の「福祉国家と教育」セッションでは「日本の“福祉国家”」について集中した議論をたたかわせる,という触れ込みになっておりますので,こちらもご関心の向きはぜひ!

それでは,さくっとプログラムのほうをご紹介しておきます。

比較教育社会史研究会・2010年度秋季例会プログラム
(「「子ども」の保護・養育と遺棄をめぐる学際的比較史研究」研究会)

◇日 時:10 月31 日(日) 午前10 時半〜午後5時半
◇会 場:関西学院大学梅田キャンパス アプローズタワー1408 号教室


午前10 時半〜午後1時 「戦時体制下の障害児者の教育」セッション(仮)
報 告
・北村陽子(愛知工業大学):「第二次世界大戦期ドイツにおける戦争障害者の職業教育について」
・河合隆平(金沢大学):「恩賜財団愛育会と戦時下の障害児保育問題」
司会 岩下誠(青山学院大学非常勤講師)
コメント 塩崎美穂(お茶の水女子大学非常勤講師)


午後2 時半〜午後5時半 「福祉国家と教育」セッション
報告
・羽田貴史(東北大学):「戦後福祉国家像の一考察」
高岡裕之関西学院大学):「20 世紀日本の「福祉国家」」
司会・コメント 広田照幸日本大学

以前にも触れたかと思いますが,私のようなものが本研究会に関わりをもちつづけるのは,社会学者が「社会」について考察をめぐらせるというとき,どれほどの知性をもってしても,自分が生きている身の周り数百キロ程度にしかなかなか想像力が及びがたいこと,それゆえに無意識のうちにその〈常識〉を前提とした偏った立論をしがちであることの陥穽を少しでも回避するための努力の一環として,です。私見では,とくに「ナショナリズム」や「国家」の問題を考察するときに,社会学者の抱えるそうした弱点がもっとも浮き彫りになりやすい。日本の事例に適合的な事象のみが考察の前提とされやすい。

そういう意味では今回,「日本」を相対化するうえでこれ以上ない本研究会の議論の文脈上において,「日本の“福祉国家”」を集中的に考察するセッションが組まれたことは大変に意義深いことといえるでしょう。「社会」を論じる専門家を僭称する,自称「社会学者」の方はとくに刮目して待たれよ――とまで言ってしまうと嫌味でしょうか。