『思想地図 vol.5 社会の批評』,いただきました。

編者の北田さん,編集部よりお送りいただきました。ありがとうございます。

もうすでに周知の事実となっているかと思いますが,北田さんが責任編集委員としてかかわる最後の『思想地図』,『思想地図』第一期の完結号,特集・社会の批評です。今号はもっぱら北田さんのみが編集の任にあたられた渾身の一巻。まだパラパラと眺める程度にしか中身は見ていませんが,今から読むのがワクワクするようなラインナップになっています。

そうですね,田舎から上京してきて大学に入り,周りの人間たちの読書キャリアがいかに自らと隔絶しているかということにカルチャーギャップを痛感しつつ,それでも“そんな感じ”の議論に魅力を覚えて駒場の生協書籍部をフラつき始めていた頃の感覚がちょっとだけ蘇ります。まーそのあとはまったく運動会(体育会)系の学生生活を送るはめになるわけですが。

個人的に一番の関心は,橋本健二さんと原武史さんのお二人に加えて司会に北田さん,というメンツがそろった座談会「東京の政治学社会学――格差・都市・団地コミューン」でしょう。これ,面白いでしょう。橋本さんと原さんというのは絶対に必要な取り合わせでした。ぐっジョブ!

パラパラみただけですが,座談会であるにもかかわらず(?)中身も濃密なのではないでしょうか。

あと巻頭に置かれている北田さんによる「社会の批評 Introduction」,それと第3部「社会の数理」を構成している論考,それ以外にも超豪華な寄稿者による諸論考,たとえば永井均さんなど...

しかし,この第5号が現在の20代前半までの読者層をどれくらい取り込めるのか,ということにいささかならず関心をもつ。下世話な話かもしれないが,第4号「特集・想像力」と比較した際の売れ行き具合など。第5号に“反応”するのって,北田さんと同世代から「上」に限定されるのではないか?......というのが杞憂であればいいのにな,とは思うわけである。

もう一つ,そもそもこれから後に「社会の批評」を標榜するような「知のあり方」に居場所があるのだろうか,ということも思ったりするわけなのだが,こちらのほうは「それがなにか?」とも思わなくもなくもなくも……ない。

いやそれにしてもお疲れさまでした>北田さん。私はこれから読むのが楽しみです。

NHKブックス別巻 思想地図 vol.5 特集・社会の批評

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