地方入試会場での思い出

今年の予定も入れるとここ3年ほど地方入試会場(←いや大学本体がすでに「地方」なんですけどね)の担当.うちは一般入試3日間行うので(ホテルに軟禁状態),入試最終日には教員・事務職員はもちろんのこと,受験生との間にもなんかしらん「仲間意識」みたいなものが発生する.みんな,よく頑張ったね,最後まで,みたいな.

1回分の受験料で最大3日間とも受験できる,という制度にしているため,どーーしても教師になりたい,でも「国立」は無理だ(センター試験で科目に満遍なく得点する,ということに難があるため),という受験生の多くは3日間とも受験しにくる.というか,そういう受験生が大半.わが大学・教育学部の教員就職率の高さと「面倒見のよさ」の定評に魅かれて.そういう高校生が世の中にはたくさんいるのです.

入試期間中は差し控えているが最終日終了後には開放感も手伝って受験生につい言葉をかけてしまう.

かなりガタイのいい,眼光鋭く,学ランに茶髪で短髪姿の彼に,「あなたも教師目指してるんですか?」と気楽な感じで.

同じ高校の受験生とは離れて,入試会場ではずっと一人で行動していた,気になる受験生.

「はい.ぼく同和地区出身でして,友達はみんな高校辞めてしまったんですが,ぼくは差別をなくすために子どもに教えられる教師になりたいと思いまして」

...とだけ簡潔に答えた彼.

「合格できるといいですね」と私(と私の隣にいた事務職員).

1年生の教職必修科目を担当しているが,彼の姿はいまだ目にしていない.本学にも合格したが他の第一志望先にも合格したのでそちらに流出したか,あるいは本学に合格できなかったのか.私の目をまっすぐに見つめた彼の眼光の力を知っている者としては,前者であることを祈るばかりである.

月曜のシンポの予習しながら(ほんっとに)徒然なるままに,こんなこと↑を思い出していた土曜の昼下がり.