11月の息抜き
むっかーしのことだが,広田照幸先生が今の私ぐらいの年齢のとき,天野郁夫先生(彼の文字通りの師匠)に説教されていたシーンを思い出す.
広田先生は今も(?)昔も休日あげて研究=仕事に没頭しやすいタイプのお人だ.私が院生だったころには学務がたてこんで研究に集中できない状態がつづくと,大学で会っただけでそれとわかるぐらい不機嫌になるタイプの方だ.
なんの拍子か,広田先生のそんな仕事ぶりが話題になった(のだろう),そのあとの天野御大のお言葉.
「広田くん,きみ日曜も仕事してるのか? ダメじゃないか.日曜はきちんと休んで家族と一緒に遊びなさい.きみ,まさか自分が論文書いたら世の中よくなるとでも思ってるんじゃないだろうねえ.変わりゃしないんだよ,そんなもの」
どこまで正確な記憶か定かでないが(←無責任),そんな感じの記憶が残っている.
苦笑いする広田.
天野先生の主著(というか最初の単著)である『教育と選抜』(1982年,第一法規)がどのように書かれたか,あるいはふだん天野先生がどういう仕事ぶりか,そのことを知っているか知らないかは↑の発語の受け取り方をまったく異なるものにするのである.
なんか微笑ましい場面として覚えている.
ま,私は広田先生のような仕事のしかたをする人間ではないが(自慢するようなことでもないが),それなりに疲れもたまるし,疲れがたまると精神的によろしくないので,定期的に息抜き.
ブログにつぶやく時間もなかったので,11月の終わりに今月の息抜きメモ.
くるりライブ@金沢EIGHT HALL
今まで行ったプロのミュージシャンのライブでたぶん最小キャパのオールスタンディング・ライブハウス.まあたまにはw.
むかし「きんげき前」つってたところ.「スクランブル交差点」とならんで昔から待ち合わせのメッカ(←金沢限定話).建物の外見は新しくなってっけど中は結構古いまんま(?).
ボボさんドラムに迎えた3ピース構成.「HOW TO GO」がベスト.場所が場所だけにちょっと心配してたけど, 思ったより音が良かったのがポイント高し.やっぱ近くで見るくるりの演奏は金だして見る価値あり.
「沈まぬ太陽」若松節朗監督,山崎豊子原作,2009年日本.
途中休憩10分を挟む3時間22分の長編大作.長い.
意味もなくチョイ役に豪華キャストを配置.
前篇はまあよいのだが後編テンポなくなる.
1000円なら見ても損なし(1000円で見たし).
感想は3つ.
1)「御巣鷹山墜落事故はやっぱりダメだ」
「クライマーズ・ハイ」以来,自分がダメなことは明らかだったのだが,なぜこんなにダメなのかわかってきた.かつて「子ども」だったときの墜落事故.いま自分が人の親の年齢になってきて(親じゃないけど),そっち目線にもなって見てしまうのが「ダメ」の元凶だ.
2)「戦争体験が戦後に生き延びた人びとの行為の審級となる」
どのように「戦争」を「体験」したか,ということへの遡及の反復.「戦後」とはそういう空間だった.言説にではなく行為にこそその痕跡が刻まれる.とはいえ,それは「ついに戦争で死ぬことはなかった者」の特権.
3)「なぜヘアメイクは石坂浩二だけ別?」
最後のエンドロール.見るとはなしに見ていると......
ヘアメイク:○○○○
ヘアメイク(石坂浩二担当):××××
なぜ「石坂浩二担当」は独立した職務に? 石坂のヘアメイクはどのような特殊技能を要請するのか...?
以上.
よしもとゴールデンシアター・ライブ
アラフォーおじさんとしては,しずるやジャルジャルへの女子中高生の黄色い歓声(←こういうの,間近で聞かされたのはけっこう人生初かもしれん)に顔をしかめつつ,中山功太のブラックな客いじりと野性爆弾のパンキッシュかつプログレッシブなコントにご満悦.
中山功太,なぜ地方公演でそこまでブラックな「ご当地ネタ」で客をいじるか.意味のない挑戦.意味のないギリギリの綱渡り.詳細は書けませんが「ころしそば」がこの日の一番爆.
あれが「なるトモ」ではあれだけのグズグズだってところに,今のテレビの縛りの強さを垣間見る思いがして鬱々(←知ったかぶりのテレビ批評).
- 作者: 天野郁夫
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