オープンキャンパスでおトク

もう一昨日のことになるが私個人としては今年度3回目のオープンキャンパス(以下,OC)へ出勤してきました.私の勤務する大学は3月・6月・7月・8月・10月・12月と年に6回OCが実施される(うち12月は大学祭との同時開催).今年度私の担当は6月の模擬授業と7月・8月の相談窓口担当,の3回でいいので,これで今年度のOC業務は終了.

「大学一世」の多い大学に勤めてからOCというものの重要性を痛感したこともあって,先日もそんな感じのエントリを書いた.とくに大学進学が「当たり前」のカルチャーではない家庭(まあ専門家は「出身階層」とかいうあれです)では周囲にロールモデルや「文化資本」(とか専門家はいうあれです)が希薄だったりするので,OCという場は重要だよ,と,単に一事業体としての大学にとって市場原理のもとでの生存戦略上重要だというだけでなく,大学教育の機会均等という公共的観点からしても極めて重要だよ,みたいなことを書きました.

ということは,ロールモデルが周囲に希薄な生徒に対しては,「こんなこと当たり前」と思ったりせずに,「“赤本”っていう過去の入試問題集があるから,入試直前はそれで勉強してみたら?」と大学のOCなどで誰かが助言してやる必要性が大きい,ということです.

とか書きました.

いやあ,うちの大学,OCに来場した高校生たちに自分のところの「赤本」,無料配布してましたよ(笑).さっすがうちの事務職(つうか入試課).わかっていなさる.てか何で自分,今まで気づいてなかったんやろ?

え,こんなことどこの大学でも常識でした? もう自分の見識のなさを嗤うしかない.前のエントリを消し去りたい衝動に駆られます(ウソ).

ということで,OCに来るとおトクだよーー,赤本タダでもらえるよーー,だからぜひ積極的にOCには足を運んでみようねーー(to 高校生).

んなこと言わなくても今の高校生はOCに行くって常識ですか(んでもって,そのときの印象で志望先も変わるって常識ですか),そうですか.

大学側のほうが早くその「常識」にモードチェンジする必要があるということ,とくに相対的に市場原理から守られている(から,お客様へのサービスに走るインセンティヴが薄い)大学にこそモード切り替えが求められるということですか.

高等教育にここまで「市場原理」が浸透している現状を私は必ずしも望ましいことだとは思わない.けれども,さしあたり今ある条件のもとで日々過ごすにあたっては,「市場原理」のもとで生起することどもに「非・市場原理」的な価値観にもとづいた行為や関係を埋め込んでいくって可能なことだし重要なことだと思う.「市場原理」と「闘う」ということは,そういうことでもあるのだと思う.

念のため申し添えれば「市場原理」って基本「望ましい」ものだからね.そりゃそうですね.