格差・秩序不安と教育

広田照幸『格差・秩序不安と教育』世織書房,2009年7月.
ご恵投いただきました.ありがとうございます.今郵便受けからもってきました.

これまで著者がさまざまな媒体に執筆してきた文章を集めたもの.ただし,ご本人の「あとがき」での弁にもあるとおり,一書全体を通じた一貫性のある本.近年クローズアップされた教育問題は,一つに「格差」の問題(学力格差,新自由主義的教育改革など),もう一つに「秩序不安」の問題(モンスター・ペアレント,PTA問題,子どもが巻き込まれる事件への不安,そして道徳教育の強化と結びついた教育基本法の改定など)である.そして,著者によればそれらはいずれも「グローバル化と教育」という一つの主題によって串刺しにされる.

広田先生には科研費報告書もずいぶん前にご恵投いただきましたが,その内容をうけたエントリのアップが遅れている間に御著書まで.痛み入ります.

それにしても,最後には「教育学への道案内」と題された「付論」があって,教育学という雑多な分野を俯瞰する文献案内と問題構制の整理まで.

なんちゅータイミング.

こんな私が珍しく「教育学の教科書」なんてものに興味がわいた瞬間に.

ある意味では本書全体が,近年の教育問題に引き寄せられた現代教育学の「一つの」見取り図(≒「教科書」)であるともいえるかもしれない.

あらためて,また.

格差・秩序不安と教育

格差・秩序不安と教育