『比較教育社会史研究会通信』第8号

お送りいただく.ありがとうございます.

学会組織になることをあくまで拒絶しつつ,2002年から実に7年間,こうしたオープンで学際的な研究ネットワークを維持してこられたことは,後年,必ずや振り返られるべき一つの遺産となりつつあると思います.

中身は3月の研究会内容のダイジェスト.

しかし,やっぱり2日目の「イスラーム圏と教育」セッションに行き損ねたのは失敗.どちらのご報告も興味深いのですが,秋葉さんの「識字」研究のほうはとくに.なるほど,new literate studies ですか.

あと「福祉と教育」若手部会(こちらは参加).

「福祉と教育」の境界線の揺れと重層とを緻密に追うという作業は,それをもたらす経済的要請との関連において把握されるべきとの感想をもつ.「国家の権力性や政治性」とか「アクターや生命観の多層性・多元性」といった視角だけでは問題設定の現代性を表現しきれていない気がします.「国家」が「経済」を処理する〈仕様〉の変化――が,この境界線の変容をもたらすのでは?

いずれにせよ,これから期待とともに注視していきたいですし,私自身の課題もこの周辺にあることは間違いないですし.