パリ

きました,ジュリエット・ビノシュ

セドリック・クラピッシュ監督,2008年フランス.

前期の講義も3分の1を消化し,ちょっと疲れてたこともあり,そして明日は開学記念日で休日ということもあり,まわらない頭を抱えて息抜きに鑑賞.1200円で.

「本作は,パリという街をありのままにヴィヴィッドに描き出した,まさに『街』そのものが主役ともいえる作品となっている」という手元のチラシの言葉が,良くも悪くもこの作品を言い尽くしてます.

高層ビル,アパルトマンから見下ろすパリの街,という画が多く,それを予告編で目にしてからみたくなった映画.なぜかというと,それがぜんぜん「パリ」っぽくみえなかったからです.

エッフェル塔やなんかという固有名を有したモニュメントもひっくるめて,それが「東京」といわれればそのようにもみえてしまう,そういう現代都市のありかたが映し出されていて(そして私自身はそういう固有名が無名性=普遍性に解消されていくのを鑑賞するのがどちらかというと好きなので),その欲求は満たされます.もちろん,「それこそが現代のグローバリゼーションという......」という話の引き取り方もありでしょうが(本作にもカメルーン移民のカットが入れ込まれてますし),私(たち)の生きている「前提」がただそのままに映し出されているのは心地よかったりもする.なんでか知らんけど.

いくつかのストーリーがパッチワークされつつ統一感を失わないのは,実は監督の腕のなせる技か?(一部,奥さんの映画評からパクる).まあ,そういうのは別にあれなわけで.ただまあ,出てくるソルボンヌの歴史学の先生,相手が美人とはいえ,そういうことやると一発懲戒ですからw,やめましょうね.

汚れた血」「ポンヌフの恋人」など初期のレオス・カラックス作品にでてたビノシュもいい感じにおばさん.あの貧相さ,辛気臭さも今となっては「いい味」と評価できるか.「TOKYO!」(2008年)のドニ・ラヴァンも変な「おじさん」になってたからなあ.80年代は遠くなりにけり.